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ヘアライター佐藤友美の 人生は髪から変わる

Special Hair Column

浜中聡子院長 スペシャルインタビュー Writing 佐藤友美

明日は何があるかわからない。だから今日を豊かに

さとゆみ:今日は先生にお会いできるのを楽しみにしていました。先生はもともと精神科でキャリアをスタートされていらっしゃるんですね。どのように、今の仕事に辿り着かれたんですか?

浜中:研修医を終えてからは、主に精神科救急の分野で働いていました。救急には、事故に巻き込まれてくる人もいるし、急な病気で運ばれる人もいるし、長くICUで治療をして精神疾患を患う人もいます。そういう中で仕事をしていて感じたことが2つあります。
ひとつは、よく言われることだけれど、「どれだけ毎日頑張って過ごしていても、人生、明日は何が起こるかわからない」ということ。このことを、言葉だけではなく、切実な実感を持って感じるようになりました。だから、「生きている今を大事にしたい」「その時間を健康で豊かに過ごしたいし、過ごしてほしい」と思うようになりました。
もうひとつは、「どんな状態であっても、精神面が安定していないと、人は満足できないし幸せとは思えない」ということ。救急にいると、亡くなる方も、良くなって退院していく方もいるのですけれど、どんな人でも、やっぱり精神面の安定が一番のベースなのだと感じたのです。

さとゆみ:そんな原体験があったのですね。

浜中:当時、アンチエイジングという言葉が流行り出した頃だったのですが、その頃はまだ、アンチエイジングといえば肌を美しくとか、見た目の美容の話が主だったんですよね。それはもちろん大事な要素なのですが、精神と身体の両方がそろわないと、美しく年齢を重ねられないのでは、というところに興味を持ち始めたんです。
いまでこそ「未病」という言葉が知られてきましたが、本来であれば、病気になる前に気づいてケアできるのが一番のアンチエイジング。そこに、精神的なケアも組み合わせていきたいと思うようになりました。
そのころは、身体の内側から働きかけてアンチエイジングを考えるような治療法をしているところは、日本にほとんどなかった。そこで、内臓からの加齢変化に対してどうアプローチすべきか、海外のいろんな治療の勉強をしました。骨年齢、ホルモン分泌、筋肉量や血管年齢、ビタミン点滴……などなど。その過程で髪の毛についても勉強することになったのが、薄毛の課題に向き合うことになったきっかけです。

男性の薄毛、女性の薄毛、その違い

さとゆみ:いろんなジャンルがある中で、最初に髪にフォーカスされた理由はあったのでしょうか?

浜中:13〜14年くらい前の話になりますが、そのころ、髪の毛に関していうと、男性向けにはAGA治療があったんですよね。薄毛の悩みも、男性はオープンにしやすい空気感がありました。でも、女性は男性に比べて薄毛治療に取り組んでいるところはほぼなかったし、どこに相談していいかもわからない。

さとゆみ:たしかに。男性と違って「薄くなってきたら、スキンヘッドにしてもいいや」といった文化もないですもんね。

浜中:そうなんです。女性の場合、年齢を重ねても「髪は存在して当たり前のもの」という社会的通念があります。だからこそ悩みも深い。ウィッグや帽子を使ってカバーしている人もいます。そんな事情を知るにつけ「女性の方こそ薄毛に対する治療法を確立しなくてはいけないのでは」と思うようになったのです。

さとゆみ:どのように治療法を模索されていったんですか?

浜中:患者さんのニーズに合わせながら、そのつど相談しながら、臨床経験を積んでいきました。
そもそも、男性のAGA診断では、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれるホルモンや、遺伝子など、いくつか特異になる薄毛の原因が見つかっているのですが、女性はこれといって原因がわからないままです。ですから、男性に比べて治療が複雑で難しいのですよね。
とくに、内服薬に関しては、海外でも先行する治療事例はほとんどありません。その中で、内服薬と外用薬を組み合わせた治療データを増やし、効果と持続を考えてきた10数年でした。

薄毛の原因も治療法も、みんな同じではない

さとゆみ:先ほど「内服薬と外用薬の組み合わせ」という話がありましたが、それは、人によってそれぞれ違うのですか?

浜中:一人ひとり違います。まず、薄毛の治療は副作用をおさえながら効果を出すことが重要です。ですが、体毛が濃くなったり、むくみが出やすくなったりといった副作用はゼロではないので、その兼ね合いを考えながら、効果を出していく用量を考えていきます。
さらに、女性ならではの特有の課題もあります。女性は妊娠、出産、更年期、閉経と、男性以上にいろんなライフステージがあるので、男性以上に生活との兼ね合いを考えた処方が複雑です。
たとえば、妊娠中は薬の胎児移行も気になるところでしょう。更年期だと、ホルモン補充療法などとどう並行していくかといったことも考えなくてはなりません。ですから、一人ひとりの状況に合わせて良い組み合わせを考え、2007年からそのデータを蓄積して一般化していきました。

さとゆみ:患者さんの年齢層は、どんな感じなのでしょうか?

浜中:10代から90代まで、幅広くいらっしゃいますよ。親子や姉妹でいらっしゃる方もいます。幅広い年齢層ですが、加齢変化として薄毛が気になってくるのは、30代、40代くらいからでしょうか。

さとゆみ:円形脱毛症の人と、加齢による薄毛は、治療法は違うのですか?

浜中:違います。女性に特有の、加齢による全体的な薄毛は「びまん性脱毛症」と呼ばれていて、薄毛で治療にこられる方の半数以上を占めます。
円形脱毛症は、抜け毛の治療で唯一、一部保険適用されます。たとえばステロイドの局所注射などは保険がききます。一方でサドベと言うんですけど、わざと患部をカブレさせて発毛を促す方法は自費になります。
ミノキシジルは、そういった保険がきく病院では処方できないのですが、私の経験的にも専門の先生方の経験値的にも、効果があるという実感があります。ですから、円形脱毛症の専門治療を持った病院と、うちのクリニックを行ったり来たりしてもらって両方で治療することもあります。

さとゆみ:実は私、若い頃、以前テレビの制作会社でADをしていたことがあるのですが、あまりの忙しさに体が変調を起こして8箇所くらい円形脱毛症になったことがあるんです。
でも、最終出社日に送別会をしてもって、家に帰って朝まで寝たら、それまで半年以上まったく髪が生えてこなかった全部のハゲ部分から毛がぐわーって生えてきたんですよ。そのとき、「髪の毛って、ここまでストレスと直結しているのか!」とびっくりしました。

浜中:実は、円形脱毛症ってアレルギーの一種なんですよね。

さとゆみ:え? そうなんですか。私、てっきりストレスが関係しているのかと思っていました。

浜中:はい、自己免疫疾患のひとつです。ただ、アトピーにしろ喘息にしろ、ストレスがかかっているときは症状が悪くなりますよね。結局、ストレスは免疫力に影響するので。

さとゆみ:そうだったんですね……。そう言われてみると、当時、アトピーにもなり、膀胱炎にもなり、胃潰瘍にもなりました……。

浜中:それは体に相当負荷がかかっていたんでしょうね……。髪は昔から「血余」と言われていて、あまったものの栄養をもらっているような場所なんですよね。だから、病気になって全身状態が悪くなったら、最初に犠牲になってしまところ。逆にいうと、体全体が元気になってはじめて、髪にも栄養がいくんです。だから、髪の問題は、全身状態を改善することと同時に進めていく必要がありますね。

髪は「自信」に直結する

さとゆみ:先生は、「髪の毛が生えて、人生が変わった」という話をたくさんお聞きだと思うのですが、とくに記憶に残っているエピソードはありますか?

浜中:たくさんありますが、とくに嬉しいのは、がん治療のあとの治療で成果が出たときですね。乳がんや子宮がんなど、婦人科系の顔はホルモン作用を抑えるので、どうしても抜け毛が増えます。
最初のうちはみなさん、命の問題だから、がんの治療に集中するのですけれど、いざ後遺症や副作用が出てきた段階で、髪の毛が抜けることによる精神的なダメージを受けるんですよね。
もちろん、再発がないことが大前提で、そのための治療が一番大事であることには変わりないのだけれど、その後その方の人生のクオリティを戻していく段階では、髪が本当に大事になってきます。そのステージをしっかりサポートできて、患者さんが元の仕事に戻られたり、自信を持って明るく前向きに生きていけるようになったと言われると、本当に嬉しいです。

さとゆみ:抗がん剤治療が終わってどれくらいたったところで、髪の毛の治療に入るんですか?

浜中:抗がん剤治療が終わったところでいらっしゃる方が多いですが、抗がん剤治療中に見える方もいますよ。抗がん剤治療が終わったあとも、ほとんどの場合ホルモン療法は続くので、そこは並行して治療を行っていきます。
最近は、がんセンターの先生からの紹介でいらっしゃる方も多いです。ある程度生えてきたけれど、思ったほどの量ではないと治療にいらっしゃる場合もあります。

さとゆみ:治療と並行して進めていけるものなんですね。知らなかったです。

浜中:そうです、そうです。もちろん、優先順位は命であることは、変わりません。その治療に差し障りがない形で、最大限バックアップしていく形ですね。

さとゆみ:私もこれまでの仕事で心に残っているのが、医療用ウィッグのヘアカタログの仕事だったのですが、そのときに抗がん剤治療をしている方々の声をたくさん聞いて、髪の重要性をひしひしと感じました。

浜中:髪は、女性の自信に直結するのだと思います。
髪がなくなったり薄くなったりすると、外に出たくなくなってしまう。お化粧もお洋服も、積極的に楽しめなくなってしまう。他の人の視線がネガティブに気になってしまうのも、髪がきっかけのことが多いんです。
だからこそ、治療することで自信を取り戻していただけたときは、本当に嬉しい気持ちです。

同窓会では、髪が一番見られている

さとゆみ:私は長年、ファッション誌でヘアページの担当をしてきたのですが、年齢を重ねるほど、髪の存在感って重要になりますよね。

浜中:私がよく話をするのは、年齢が上がればあがるほど、後ろ姿に健康かどうかが見て取れるということ。では、後ろ姿のポイントは何かというと、髪の毛と姿勢なんですよね。
若い時はおしゃれな髪型かどうかが大事だったかもしれませんが、年齢を重ねると、髪の毛は健康のバロメーターにもなるし、手入れをしているかどうかを映し出す鏡にもなってしまう。だから、年齢を重ねたときに、髪に自信が持てるか、コンプレックスになるかは、大きな違いなんじゃないでしょうか。

さとゆみ:同窓会に行ったりすると、髪が豊かな人は断然美しく見えますもんね。つくづく、大人になるほど、顔<髪だなと思います。下剋上が起きるなって思いますもん。

浜中:髪でずいぶん、違いますよね。患者さんにも、「同窓会に間に合わせたい」という方は多いですよ。同窓会って、昔を知っている同世代の人と残酷に比べられる場所ですもんね。楽しさもあるでしょうけれど、どちらかというと、意気込んでいく場所なんでしょうね。

さとゆみ:髪が薄くなったり、うねったりするのは、ホルモンの影響なのですか?

浜中:基本的には血流の問題です。身体のどこの部分も、年月ともに血流が悪くなると調子が悪くなる。これは、髪の毛も同じです。
加えて、女性ホルモンの分泌量の低下は、髪のうねりや乾燥の原因になっています。ですから、ある程度の年齢になってから、うねってしまった髪や乾燥毛を元に戻すのは難しいですね。
治療することによって、毛量は増えても、髪質は戻らない。20代の頃のような、まっすぐで太い毛になることはないんです。患者さんには、そのことを受け入れて、似合うヘアスタイルに変えていってくださいとお話しすることが多いです。

さとゆみ:なるほど。普段から気をつけるべきことはありますか?

浜中:やはり食べ物と睡眠ですね。また、あまり早くから閉経してしまう「早発閉経」は防いでいきたいところです。月経困難症や卵巣嚢腫などの婦人科系の疾患のコントロールはとても大事。ホルモンの分泌量にも直結しているので。
それと、薄毛が気になったら、なるべく早い段階で専門のところに行くといいですね。周りの人は「全然大丈夫だよ」というかもしれないし、実際に大丈夫だったりすることも多いのですが、本人が少しでも「気になるな」「自分のストレスになっているな」と思ったら、早めに相談したほうがいいです。というのも、早めにアプローチすれば、改善も早くできますし、治療も軽くすみますので。

患者さんと一緒に歳を重ねていく

さとゆみ:最後に、先生の今後の夢といいますか、予定といいますか、どんなことを考えていらっしゃるのかをお伺いしていいですか?

浜中:今、一番欲しいのは、低被ばく型のCTですね。

さとゆみ:へ?

浜中:このクリニックでは、女性専門の健診センターを併設しているんです。大腸も消化器系も全て見られるドックで、女性に起こりやすい病気の健診はほぼ網羅しています。ただ、唯一足りないのが、肺がんを診断する低被ばく型のCTなんです。
現在、ほとんどの一般検診は、X線の画像で肺がんに影が無いかどうかをみるんですけど、早期の肺がんはX線では写らないんですよね。だから、そのCTが入ればいいなと思う。そうすれば、女性の人生のどのステージの問題でも、ちゃんと相談が受けられるようになるなと思うので。
いま、年齢とともにデータを蓄積しつつ、同じところで診てもらえるところって、ほとんどないんですよね。

さとゆみ:ちょっと、想像していた答えとは違いました(笑)。
先生の「女性のライフスタイルに寄り添っていきたい」という、そのモチベーションはどこから生まれているんですか?

浜中:患者さんと一緒に歳をとっていくからではないでしょうか。髪の毛のことだけではなく、患者さんのいろんな話を聞いている中で、彼女たちの人生のすべての病気に寄り添っていければいいなと思うようになってきたんですよね。
この仕事を始めたときは30代になりたてでしたが、自分も年齢を重ね、「ああ、患者さんが言っていたのは、このことか」というのが、だんだんわかってきたんですよね。歳をとるほど視野が広くなる。患者さんのいろんな人生が経験と機会を与えてくださっているんだな、と。本当にいい仕事だと思うんです。
だからこそ、一緒に歳をとってきた患者さんの全てのライフステージに寄り添えたらいいなと思っています。

さとゆみ:素敵なお話……。先生が最初におっしゃっていた、心と体の両方が元気な状態を実現できるクリニックですね。今日はとても楽しかったです。ありがとうございました。

ヘアライター 佐藤友美(さとゆみ)

日本初のヘアライター。 約20年のヘアライター人生で、約4万人、200万カットものヘアスタイル撮影に立ち合う。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、日本はもとより、海外でも美容師向けの講演を行い、セミナーを受けた美容師はのべ3万人を超える。
歯切れのいい解説で、NHK「あさイチ」、MBS・TBS系「林先生が驚く 初耳学! 」などのテレビ、ラジオ番組などで活躍する一方、ヘアアドバイザーとして全国の女性の髪の悩みにこたえ、高い満足度を得ている。現在、ESSEonline「ヘアの問題白黒つけます」やmi-mollet(ミモレ)「さとゆみの『ドラマな女たち』ヘア&メイクcheck」などを連載中。著書に、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)などがある。近著に『髪のこと、これで、ぜんぶ。』(かんき出版)。