ヘアライター佐藤友美の 人生は髪から変わる
髪の費用対効果
1時間あたり7円。安い? 高い?
ヘアライターのさとゆみです。
今日は、髪にかかるお金の費用対効果について考えてみましょう。以前、書籍『髪のこと、これで、ぜんぶ。』に書いたところ、ずいぶん反響をいただいた内容です。
たとえば、カットとカラーをしたとします。都心であれば、15,000円くらいするでしょうか。日本人女性の平均美容院来店期間は3ヶ月に1回くらいなので、15,000円で3ヶ月過ごすとします。
髪は、メイクと違って毎晩落とすようなものではありません。服のように毎日着替えるものでもありません。24時間のうち全ての時間、あなたの身体に寄り添うものです。そう考えると、【90日×24時間=2160時間】過ごす髪を、15,000円で買っていることになります。そう考えると、1時間あたりの髪の値段は約7円という計算になります。
この値段は安いでしょうか? 高いでしょうか?
これだけではよくわからないですよね。では、これをお洋服と比べてみましょう。
同じように、1枚15,000円の夏もののワンピースを1枚買ったとします。このワンピース、1週間に何回着られるでしょうか?
週に1回くらい? 多くても週に2回くらいでしょうか。
ここでは仮に、週に2回、そのワンピースを着るとします。
24時間のうち、だいたい、朝の8時から夜の20時まで、12時間程度着るとします。夏のワンピースを着ることができる期間は結構限られています。だいたい3ヶ月くらいですね。だとしたら、3ヶ月間、毎週必ず2回着るとして【12時間×2日×4週×3ヶ月=288時間】になります。そのワンピースのお値段は、1時間あたり52円になります。先ほどの髪の約7倍くらいです。
もちろん、ワンピースは次の年も着ることができます。その次の年も週2で着こなすなら、1時間あたり26円。それでもやっぱり、髪よりは高い計算になります。
こう考えてみると、髪って、意外とコスパがいいものだと思いませんか?
ヘアケアは「毛」のケアだけではない
美容院で気に入ったヘアスタイルを手に入れるのもそうですが、毎日のヘアケアも大事です。
では、どんなことに気をつければいいでしょうか。
ひとつ、覚えておいてほしいのは、髪は死滅細胞であるということ。だから、一度ダメージした髪が補修されることはないですし、傷んでしまった髪がツヤツヤの髪に戻ることもありません。
だからこそ、ヘアケアに関しては、これから生えてくる髪が、「元気で健康に」生えてくることをサポートするのが大事なのです。
「ヘアケア」というと、どうしても髪の「毛」のケアばかりに目が行きがちですが、「毛」のケア以上に大事なのが、土壌である頭皮環境をよくすること。具体的には、毛穴につまった汚れを綺麗にとりのぞくことや、血行をよくすること、必要な栄養分を与えるといった「頭皮ケア」です。
髪の毛は古来から「血余(けつよ)」と呼ばれています。
「血の余り」というくらいですから、最後の最後に余った血がやってくる部分というわけです。体全体に栄養がいきわたった後にはじめて、残った余力で髪に栄養が届く場所だと考えてください。
ですから、髪のケアをするだけではなく、全身の健康状態や、メンタルの不調を調えることも大事です。「髪に良い食べもの」や「髪に良い生活」が、結局、病気にならない食生活とほぼイコールなのは、こういった理由です。
毎日の摩擦や刺激から、髪を守るために
これから生えてくる毛のために、土壌である頭皮ケアが大事であるのと同時に、生えてきた髪をできるだけ健やかに伸ばしていくことも重要です。まずは、以下のことをチェックしてみてください。
・濡れたままの髪で寝ない(髪は濡れているときに、一番ダメージを受けます)
・なるべく朝シャンを避ける(朝シャンプーをすると、頭皮を守ってくれる皮脂が取れてしまうので、紫外線などの影響を受けやすくなります)
・髪を乾かすときは、根元から毛先に向かって風をあてる(キューティクルをめくらないようにしましょう)
・紫外線が強い時期は、日傘や帽子、髪用の日焼け止めなどを駆使して(春夏に紫外線を浴びすぎると、秋の抜け毛が増えます)
詳しくはまたお話したいと思いますが、ぜひ、日頃のヘアケアの参考にしてくださいね。
ヘアライター 佐藤友美(さとゆみ)
日本初のヘアライター。 約20年のヘアライター人生で、約4万人、200万カットものヘアスタイル撮影に立ち合う。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、日本はもとより、海外でも美容師向けの講演を行い、セミナーを受けた美容師はのべ3万人を超える。
歯切れのいい解説で、NHK「あさイチ」、MBS・TBS系「林先生が驚く 初耳学! 」などのテレビ、ラジオ番組などで活躍する一方、ヘアアドバイザーとして全国の女性の髪の悩みにこたえ、高い満足度を得ている。現在、ESSEonline「ヘアの問題白黒つけます」やmi-mollet(ミモレ)「さとゆみの『ドラマな女たち』ヘア&メイクcheck」などを連載中。著書に、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)などがある。近著に『髪のこと、これで、ぜんぶ。』(かんき出版)。